2007年6月16日土曜日

ケルトの伝説 沈める寺

6月19日は故郷の幕張テクノガーデンでコンサートがある。
夏の海辺にふさわしく、私ならではの演出を考えた。

ドビュッシーの「沈める寺」のストーリーをもとに、音楽象徴劇を・・

イースというブルターニュにあったという伝説の都、
世界最高の繁栄を誇ったというその都は、それまでどんな恋人にも飽き足らず
初めてみずから成就を賭した王女の恋のため水の底へ沈む・・

キリスト教のめがねで見ればソドム、ゴモラを想起させる悪徳と邪淫にみちたイースの都。
それを滅ぼすために神からつかわされた男は王女への愛を誓う代わりに水門の鍵を要求した。
手渡した瞬間に男は消え、王女は都と共に波に飲まれた。
すでにキリスト教に改宗していた父王は愛しい王女の死を悼みつつも森のドルイド僧に看取られ、心配して追ってきた司祭に「この男に辛く当たらないでほしい。私は王国と娘を失ったが彼は信仰をうしなったのだ」と言いつつ息を引き取る。
ドルイド僧は司祭に、王がここに寺院を建てるようにも言い残したと伝えると
「結局はわれわれは同じ道に行き着くのかもしれませんね」とさらに森の奥深く歩み行ったという。
ケルトへの布教は土着の精神性を重んじたものだったといわれているが、外国語で読むからか
私が外国人で今の人間であるからこう捉えるのか、無言の反駁と精神構造の静かな次代へのバトンタッチが、なんともこうあってほしい伝説の典型であると感じる。


沈んだといわれるイースは滅びたのではないという。
そこに残る寺院のミサで司祭が答唱を返す会衆を得たとき、ふたたび海面に浮かぶそうだ。
そして王女も母と同じ人魚になって切ない声で歌っては,一目見ようとするものたちを虜にし続けている、と。

曲目は

1亜麻色の髪の乙女 
2金色の魚
3ソナチネ
4サラバンド
5西風の見たもの
6沈める寺
7鐘の谷

3と7はラヴェル、それ以外はすべてドビュッシーです。
そして、、1、2以外はなんと7月の建礼門院右京大夫集「しのばしき・・」と共通曲目です。
お話によって同じ曲でも違って聴こえるんです。私には。

しかし、男性は女性に虜にされてしまいたい、という潜在的な願望があるんでしょうか?
特に水の精に誘惑されてコロリとなんて沢山ありますよね。
オンディーヌ、ルサルカ、沈鐘・・・

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