先月は、憧れていた人に会えた良い月であった。
10年来のファンであったバリトン歌手、ヨルマ・ヒュンニネン氏。
はるばるフィンランドからシベリウスイヤーのために来日した彼は、おそらく絶好調でないにせよ
絶唱を聴かせてくれた。もう、これは私の身にあまる幸福であると感謝。
何をどう言っているのか、言おうとしているのか明確になるまで歌わないのだろう。
そして、解釈がぴたっとはまったときにはもうコンディションなど関係ない、
スピリットがすべてを凌駕して芸術となる。
肉体を超えるというのはこういうときのことなのだろう。
それから、憧れの白坂道子先生。
その典雅な語り口はもう憧れのひとことに尽きる。
思えば、好みだけはうるさい私は、いつか先生のような方に、と思いつつ
でも不可能であろうことが身に沁みてわかるだけに
自分で語り始めたのでした。
私のようなスタイルは音楽と語りどっちつかずに陥る危険があるだけに
語りのみの世界はいったいどれほどの表現力を要求されるかと・・・
願わくば相乗効果を期待したいと始めたことですが。
それにしても、夕顔公演の直前にお会いできるなんて感激でした。
憧れの人とやっと出会えた月、・・にしては階段で骨折したり咳でひびが入ったり
いろいろとホネがおれました。
諸方面にご迷惑をお掛けしたことも忘れてはなりません。
すみません。